リガチャーの研究おじさん

吹奏楽・クラシック向けにサックス小物をレビューしつつ、自作リガチャーの研究・販売を目指しています。使用楽器:セルマー・旧シリーズ2 GPネック

「Wood Stone(ウッドストーン)リガチャー」(GP)のレビュー

 国産ハンドメイドの高品質リガチャー

 

日本ではハリソンやBGに負けず劣らずの人気ぶり

 

ジャズからポップス、クラシックまで幅広く活躍

 

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石森管楽器、ウッドストーンの代表的なリガチャーです。

仕上げはコパーからブラスにGP・総銀PGPなど最大7種類と豊富で、アルトならマウスピースごとに6種のサイズ展開があります。真ん中の丸穴が印象的ですね。

 

非常に製品精度が高く、マウスピースにピシッと嵌ります。惚れ惚れしますね〜。

 

触ると表面や角も滑らか。細部までこだわりが見られます。

 

「作り」の観点で言えば僕が最も好きなリガチャーですね〜笑

 

 

値段はGPで15,000円前後。

同じ日本製のハリソンなどと比べるとちょっとお高めですね。

ただ、ハンドメイドかつ加工精度的に妥当な値段かもしれません。

 

 

試奏レビューに入ります。

 

今回GPを吹きましたが、音に太さと艶があり、まとまりも良くレガートな感じで、かなり好みな印象です。音色のバランスも良いですね。

リガチャー自体の音はクラシックとポップスの間ぐらいかなぁというイメージ。

 

ハリソンに比べると多少抵抗感ありめですが、それが音の太さや艶に繋がっているような印象です。

 

僕が吹くと若干高音域がキンとする気配がありますが、GP以外の仕上げ(コパーとか)ならもっとピッタリくるものがあるかもしれません。

 

リガチャー自体の扱いやすさももちろんですが、仕上げの種類の多さが対応できるジャンルの多さを支えているのでしょう。

 

 

気になる点

 

・あんまり楽器屋さんに置いてない

 

ハンドメイド品なので生産がある程度限られるのでしょう。

選べるほど在庫がない!なんてこともあるのでは。

精度の高さから個体差は少ないように思いますが、めっきなど仕上げの違いを比べたい人にはツラいかもしれません。

 

 

とはいえ正直...特筆すべきデメリットはこれぐらいでしょうか...?

 

 

まぁお値段高めではありますが、さしたる弱点も無く妥当(むしろ割安?)な金額という気がしてきます。

 

ただアルトだとバッチリな感じですが、例えばソプラノも同じリガチャーの感じだと結構重くなりそうな気もします。(調節されてるかもですが)

 

吹奏感や音が自分にマッチするなら長く使える良いリガチャーのひとつだと思います。

 

もし楽器屋さんで見つけたら是非とも試奏をお勧めします。

 

 

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(個人的に気持ちもう少しだけ吹奏感軽めが好みなので、長く吹かれた中古のGPや新品でもコパーがたくさん試奏できるなら狙いたいなというお気持ち。中古値段お手頃で素敵ですね♪)

 

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「Yany SIXS(ヤニーシクス)」のレビュー

 ヤナギサワから2019年3月1日より新発売

 

海外でのYanagisawaの愛称「Yany」

装着時にマウスピースとリガチャーの間に創られた6箇所の空間「SIX Space」

『Yany SIXS』

 

特徴的なY字のデザイン

エボナイトの使用

ネジに装飾まで施された逸品

 

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ヤナギサワのリガチャーと言えば魔法のリガちゃんが有名ですが、

その発売から20年経て新たなリガチャーが誕生しました。

 

...メーカー名の頭文字を商品に入れ込むの、BGやハリソンみたいで個人的には結構好きです笑

 

 

それにしても贅沢な見た目です。標準で金メッキ仕上げで高級感ありあり。

重量的には見た目より軽く感じますが、全体的にかなりガッシリした作りでヤナギサワの楽器作りへの情熱が、そのままリガチャーにも現れているようです。

 

リガチャーとマウスピースとの接点にマウスピースと同じ素材のエボナイトを使用するというのは非常に驚きがあります。

 

また、ネジの頭を六角形にして装飾を施したりと他メーカーにない独自性があります。

 

 

価格は22,000円とJLVリガチャー並み。時期的にも意識しているのでしょうか。

 

 

試奏レビューです。

 

低音から高音までバランス良くふくよかな感じです。

特に高音はスッと繋がって楽ですね。金メッキが良い味出しているのでしょうか。

 

個人的に、一つネジの特徴として抵抗感が強く暗めの音色というのがあります。

このヤニーシクスもその傾向が強く出ていると思います。

 

暗めと言いつつ金メッキ仕上げ。落ち着きを持ちつつ現代的な華やかさ。

おそらくそれがハマって音色幅が広く、色んなジャンルの曲で使えそうです。

 

 

気になった点。

 

・抵抗感の強さ

元々の作りがガッシリな上に金メッキ。一つネジなのも加わって抵抗感が強め。

本体の軽さで補おうとしているのかなと感じます。

普段よりセッティングを軽めで合わせてちょうど良い感じだと思いますが、

これだとpもfもパンっと鳴る形になります。(これがかつてない吹奏感の世界...?)

 

音色幅が広く色んなジャンルに対応できそうと書きましたが、かなり発音がハッキリしてしまうのでクラシックをソロで、とかは向いていないかもしれません。

 

 

・お値段

「JLVリガチャー」の際にも書きましたが、やはり初心者や学生にはオススメできないかなぁという値段ですね。

 

過去の記事↓

www.jirihi-3.com

 

最終的に人それぞれではありますが、このリガチャーに「値段対効果」がどれだけ感じられるかだと思います。

 

バランスや音の良いリガチャーだと思いますが・・・

・同価格帯のJLVやシルバースタインと覇権を競えるのか?

・国産定番リガチャーのハリソンやウッドストーンを出し抜けるのか?

など考えてしまう部分はあります。

 

 

(同形状で二つネジになったら面白いのかなぁ...)

 

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「JLVリガチャー」のレビュー

 乗り換えるプロも多数、2018年最も話題になったリガチャー

 

フランス発、独自機構てんこ盛りの全く新しい設計。

 

店員さんも間違えてる?

JLVリガチャーの正しい取り付け方の話まで。

 

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設計者であり社長でもある

Jan-Luc Vignaud(ジャン・リュック・ヴィニョオ)さんの頭文字を取って

JLVリガチャー

 

非常に独特な形状をしています。(余談ですが僕は初めてコレを見た時、

「フォルテシモ」というリング型のリガチャーが脳裏に浮かびました。)

 

リードの振動を最大限に引き出す

というコンセプトのもと、

リードやマウスピースとの接点を極力減らした形状になっています。

 

また、

一般的なリガチャーは真鍮などの金属板にネジ部やリードとの接点部などを溶接で取り付け、マウスピースに沿った丸い形に曲げて作られていますが、

JLVリガチャーは真鍮の一枚板を削り出して製作されているそうです。

(加工時間長そうですね...)

 

そのため、

・残留応力が少なくリードの振動を妨げない

・加えて個体差のバラつきもない

とのこと。なるほどね...?

 

 

独自機構として、

付属のナット掴みを使用することで

マウスピースに合わせてリガチャー径を調節できます。

定番マウスピースのセルマーバンドレンで径が違うので、

これは何気に嬉しいですね。

 

また、

リガチャー本体の上下を入れ替えることが出来るので

左利きの奏者にも対応しています。

 

 

気になる価格は

ノーラッカーで24,000円ぐらい、24Kは29,000円ぐらいで

プラチナは42,000円ぐらい...

 

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試奏レビュー行きましょう。

 

今回はシルバーと24Kを試奏しましたが、

どちらにも共通して言えるのが息の量から音への交換率が良い

これですね、これ。スッと吹いたらポンと出る。

 

息のまとまりが良く、かと言ってモフらずに響きがある。

音色にも発音にもクリアさが出せます。

 

特に低音はタイトな吹き方もできるのでテナー・バリでの恩恵は大きそうですね。

 

ただし、意識的にまっすぐな息が必要というか

息のガイドラインがまっすぐ引かれてる感覚があり、

この傾向が高音に行くほど強く雑味を減らしていきます。

 

これが良くも悪くも評価の分かれそうな部分と感じました。

 

現代的な楽器のセッティングを好む人ほど相性が良いのではないでしょうか?

 

 

シルバーと24Kでの違いですが、

シルバーは太さと雑味分が、24Kは華やかさが際立つイメージでした。

他社リガチャーに比べ、めっきの違いがかなり音に大きく関わるように感じます。

(...と思って調べてみたら、どうやら表面のめっきに応じて本体の真鍮の比率を変えているそうです。加工時間すごそう。)

 

 

 

 

さてさて、気になる点をいくつか。

 

・キャップ

形状の違いから通常のリガチャーと同じキャップが使えません。

JLV専用のキャップが別売りで8,000円します。

なかなか痛手ですが、

シルバースタインのオムニキャップ(2,000円)が使えるのでJLV使用者はこちらも購入している方が多いようです。

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・上記の「息のガイドライン

気になる方は気になると思います。高音ほど音が細くなるような...

聴き手側はそう思わないのかもですが。

レジェールリードを使った感覚に似ていて僕はちょっと苦手でした。

 

サックスよりクラリネット奏者の方に、

より高く評価されているように見受けられるので何かしら関係があるのかも?

 

なんとなくですがJLVとマウスピースとの接点にゴムが使われているので、もしかしたらこれが影響しているのか、な...?

 

それが関係してなくても、今後この部品がオプションとしてエボナイトなどに変更できるようになったら面白いかもしれません。

 

 

・値段が高い

正直、これだけ高いと初心者や学生に強くオススメできないですね...

フランス産の拘った作りから妥当な値段とは思いますが。

 

こんなブログ書いておいてですが、(ほんとに)

初心者や学生はリガチャーの前に、マウスピースの選定と楽器の調整にお金をかけると良いと思います笑

そうしたらスケールとエチュードを揃えて、レッスンに通って...

 

最初は安いリガチャーで良いのです、壊れてなければ。

 

 

リガチャーはエンドコンテンツ(のひとつ)なので。。。

 

  

こちらも合わせてどうぞ↓

 

www.jirihi-3.com

 

 

 

 

余談コーナー

特殊な形状しているJLVリガチャーですが、

取り付けも普通のリガチャーと位置が変わります。

こちら↓

 

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楽器屋さんのオンラインショップでも画像で言う

Cの取り付けで商品説明されていたり、店頭でも間違った説明されたり、

そもそも説明されなかったりという事もあるのでお気を付けください〜。

「HARRISON(ハリソン復刻版)」のレビュー

日本国内では「BG」と人気を二分するド定番リガチャー

 

有名プロを中心にアマチュアまで幅広く支持されるH型のヤツ。

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元々、アメリカのメーカー

HARRISON HURTZ

(ハリソン ハーツ)

で販売されていたリガチャーです。

 

オリジナルは既に販売終了しており、

現在は野中貿易が

復刻版HARRISON HURTZリガチャー

として取り扱っています。

つまりは日本製ということですね。

 

 

「BG」は側面どちらから見てもBの形に見えるリガチャーでしたが、

 

www.jirihi-3.com

 

「ハリソン」は正面から見てHの形でリードを抑えています。

 

...こちらも洗練されたデザインで美しいですね。

復刻される価値があるというものです。

 

 

価格はGPで9,000円前後ぐらいと

金めっきにしてはお値打ち感あります。

(総銀製だと25,000円前後しますが...)

 

個人的に須川展也さんが使用しているイメージが強いですが、

皆さまのイメージはいかがでしょうか?(須川さんのはオリジナルのハリソン?)

 

 

さて、試奏レビューに入ります。

 

一言で表すと

くっきり明るい高級感のある音。

 

吹奏感は心地よい抵抗具合で、どちらかといえば軽い部類と思います。

 

息に制限がかかる、なんてこともなく音の広がりに自由度があります。

 

なんと言っても吹き込んだ息に対して音の純度が高いという印象を受けます。

かなりクラシック向きな設計と言えるでしょう(特にGP)。

 

リガチャーの金属がかなり硬そう(鍛造?)なので

そこらへんが影響しているのかなと推測しています。

 

海外より日本での愛用者が多い理由は単純に日本製だからでしょうか。

 

BGと並び、一度は試奏する価値のある製品と思います。

 

 

 

 

気になる点について。

 

ここまで書いて無敵のようなハリソンですが、

なんと言ってもコレ。

 

SNSなどでもよく見かける

H部の付け根がブチッと切れる現象。

 

僕はハリソンの使用経験が少ないのでブチッとしたことはないのですが、

ちょくちょく話を聞きます。

 

H部の付け根がかなり薄いのでどうしようもないのではと思います...

 

 

あとは人によって、高音がちょっとキンキンするという印象を持つ可能性があります。

 

もちろん個体差もあり得るので、必ず試奏をオススメしたいですね。

 

 

以上です。

 

 

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...個人的な見解ですが、「ハリソン」と「BG」

どちらも素晴らしいリガチャーなので1度は両者の試奏をして欲しいですね。

(何かリガチャー購入を考えているなら尚更!)

 

www.jirihi-3.com

 

「BG トラディション L10」のレビュー

 

「HARRISON(ハリソン)」と双璧を成すド定番リガチャー

一つネジ逆じめリガチャーの決定版。

「BGのリガチャー」って言ったらパッと思い浮かぶのがコレ。

 

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1986年に設立されたフランスの楽器小物メーカー「BG」の製品です。

 

線対称の形状のリガチャーが多い中、

こちらは形状が点対称でシンプルながら面白みのある美しいデザインです。

 

価格はラッカーでも15,000円あたりと正直お高めの部類。

 

とはいえ、

日本だけでもアマチュアから音大生にプロまで幅広い層の支持があります。

人気はハリソンと二分しているかなー、と言った感じでしょうか。

www.jirihi-3.com

プロの使用者だと松下洋さんが

Cメロサックスに取り付けてる写真がパッと頭に浮かびますね。(僕だけです)

 

 

試奏レビューに入ります。

肝心な音ですが、いわゆるフランス語で「chic」

上品で落ち着いた音色と言えます。

 

あたたかみのある優しい音でもホールの後ろの客席まで届く直進性。

軽めの吹奏感ながら低音から高音までしっかり保ちます。

 

愛用者の多い理由がよく分かります。(過去愛用者)

ハリソンと並び、一度は吹いてみる価値があるリガチャーです。

 

 

 

さて...

おそらく形状的には暗めな音が出しやすい製品と思いますね、一本ネジだし。

 

それを全体の重量を軽くしたり、ネジ側・リード側で重量差付けたり、

肉抜き部を大きく取ったりして、

 音色の明るさを確保してバランスを取っているのかなと推測しています。

 

 

 

さて、気になる点についても書いておきましょう。

 

ここまでベタ褒めしといて何かあるんかい、とツッコミされそうですね。

 

あります、ズバリ経年劣化

 

そもそも金属製のリガチャーは経年劣化が起きやすい面がありますが、

BGはリードに接する箇所が金属の折り目で作られており、

通常使用の範囲内でも締めるたびに少しずつ折り目が伸びてしまうと考えられます。

 

 

僕自身もこのリガチャーが好きで

5年ぐらい愛用しておりましたが、

 

段々と高音が潰れたり

シャーシャーとした息漏れのノイズが聴こえ続けたりと不調が続くようになりました。

 

ちょうど自分にとって楽器を練習できる時間が減った頃だったので

最初こそ自身の奏法か楽器の調整のせいだろうと思っていました。

(実際それもあった)

 

が、

 

新品のBG吹いてみたらすっきり解決しました笑

そう言えばこんな感じだったなーみたいな。

 

高音が潰れて雑味成分に少しずつ置き換わっていたんですね。

 

 

 

ですので、

現在長くBG愛用している方や中古でBG買おうと思う方など、

 

経年劣化についても気にされてみても良いかなと思います。

 

もちろんBGだけでなく、定期的に新品との試奏比べをお勧めします。

(結局僕はリガチャー買い換えました)

 

 

 

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ところで小噺なんですが、BGのリガチャーパッケージ(公式)...

 

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何か違和感無いでしょうか...?笑